手術入院をしない膝の最先端医療とは

手術入院をしない膝の最先端医療とは

膝の痛みが治らず、手術を勧めらても家庭的にも社会的にも今すぐに受けられないという悩みを持つ方も少なくありません。いまは手術・入院をしない、最前線の再生医療が存在するそうです。4月25日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、多治見スマートクリニック整形外科専門医の福田誠さんが、再生医療のひとつであるPRP療法について紹介しました。

軟骨は治らない?PRP療法とは

PRP(Platelet Rich Plasma)療法とは、日本語にすると「多血小板血漿療法」。

血液にある血小板を活かして、人体にある治る力を引き出す治療です。
血小板は怪我をして出血した際、傷口を塞ぎ治すスタートの働きをする大切な役割を担っています。

軟骨は一度傷がつくと治りにくいとされています。
軟骨の色は、むきたてのゆで卵のような真っ白ですが、人体の中で色が白いものは血液が流れない、細胞が少ないものの代表です。

一方、筋肉や肝臓の赤いものは血液・細胞が豊富であり栄養が届きやすいため治りが早いですが、白いものは治りが悪いとされています。

福田先生「自然界に例えると、筋肉や肝臓は生い茂ったサバンナ、膝は何にも栄養もない砂漠のようなイメージです」

細胞もなければ血液もない軟骨には、治る要素がないそうです。

そこに治る要素を加えるのが、このPRP療法です。
PRPを膝に投与することにより、軟骨の周りにある靭帯や半月板などの白いものを治りやすくする栄養や血流を届けます。

それだけではなく、膝の関節の炎症を取り除くことにも役に立ち、膝に水が溜まるなどの方にも効果が期待できる療法です。

プロスポーツ選手も怪我からの復帰のためにPRP療法を取り入れる方が多いといいます。

変わりつつある膝の医療

従来の治療ではまずヒアルロン酸を注射し、膝の関節の滑りを良くする治療を行います。

しかし近年の研究では将来の長い目で見ると、このヒアルロン酸には変形性膝関節症を予防する効果が、あまり期待できないことがわかってきました。

その中でPRP療法は、予防が期待できると積極的に研究が進められています。

ちなみにこの療法は新しい治療なので健康保険では受けられず、自由診療の扱いです。
数年前まではプロのスポーツ選手しか施術できないほど値段が高かったのですが、最近は治療費が下がってきており、より治療がしやすい環境は少しずつ整っているそうです。

副作用はあるのか 膝以外にも効果期待

不安になるのが副作用。
PRP療法は自分の血液を使って治療をするため、薬を使わず副作用のリスクが比較的少ないとされています。

さらにPRP療法は広がりを見せており、膝関節以外にも様々な分野で活用されています。
例えば不妊治療では、高齢出産で胎盤の機能も衰えてきてしまい、これが流産の原因のひとつと言われています。

そこで産婦人科では母の血液からPRPを抽出し、事前に胎盤に戻しておくことで、胎盤が元気になり、育ちやすい環境を作る不妊治療を行なっているということです。

PRP療法の対象者は?

福田さんによると、PRP療法は変形性膝関節症の初期の方に良いとされています。

ヒアルロン酸治療を受けても改善しない方、膝が腫れて何度も水を抜いている方、スポーツを末長く続けたい方にもおすすめです。

また、人工関節を勧められたが家庭や社会的事情ですぐには受けることができず、数年間はなんとか自分の膝でメンテナンスしていたい方などにも提案したい療法とされています。

膝の悩みを抱えている方、PRP療法について医師に相談してみるのはいかがでしょうか?
(ランチョンマット先輩)
 

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