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バッターにとって一番やっかいな球とは 憲伸、変化球の極意を語る!

バッターにとって一番やっかいな球とは 憲伸、変化球の極意を語る!
燃えドラch

バッターにとって一番やっかいな球とは 憲伸、変化球の極意を語る!

 2020年10月20日(火) 10:30
竹内 茂喜
竹内 茂喜
CBCテレビ野球中継「燃えよドラゴンズ」©燃えドラch

CBCテレビ野球中継「燃えよドラゴンズ」燃えドラch
ドラゴンズの絶対的エース川上憲伸が語るシリーズVol.2 変化球の極意

ドラゴンズ黄金時代を支えた絶対的エース・川上憲伸が、テクニカルな話題から球界事情に至るまで、気になる話を大放出!題してドラゴンズの絶対的エース川上憲伸が語るシリーズ!二回目は変化球の極意を語る!

困ったときの変化球

“変化球は…ごまかす球かな”

川上さん自身が野球をやり始めた頃から感じ続けている変化球のイメージ。

川上『ストレートで勝負するというのは怖さがあって、変化球でストレートを生かすんですよ』

今まで多くの投手を取材してきたが、そのほとんど皆、ストレートが走ってこそ、変化球は生きてくると聞いた。しかし川上さんはその真逆。変化球があってこそストレートを生かす。

川上『ストレートでどんどん勝負できる人はうらやましい。またストレートで勝負できない時もあるからね。困った時のストレートというけど、困った時に変化球がないとストレートだけで勝負するのは厳しい』

肩痛に苦しみ続け、思い通りのストレートが投げられなかった川上さんの悔しい思いが変化球の精度を高め続けたエネルギーになったのかもしれない。

腕の振りと球が一致しない変化球が一番やっかい

CBCテレビ野球中継「燃えよドラゴンズ」©燃えドラch

ピッチャーにとって最大の武器になり、反対にバッターにとって最も嫌な変化球は何か?それは腕の振りとボールが一致しない変化球。
まさに一番やっかいであり、ピッチャーにとっては最大の武器になる球だという。

川上さんは身近な例としてバッティングセンターを挙げた。

川上『最近の機械はバーチャル映像に合わせて球が出てくる。ひと昔前は、アーム式でいくらでもタイミングを合わせて打つことができた。しかし現代版バーチャル映像版は急にポンと球が出てくる。事前にストレートや変化球の指示が無理であれば、対応して打つことはかなりの困難となりますよね。場所によっては映像通りに投げてこない時もあるからね(苦笑)。投げている途中で球が出てくる。そりゃ打てんよ!(笑)』

川上さんといえばカットボール。

ストレートとほぼ同じ球速で小さく鋭く変化するため、バッターからはストレートとの見分けがつきにくく、バットの芯から外させて凡打に打ち取る、バッターにとってはなんとも嫌な変化球である。

カットボール自体、ストレートとまったく同じ腕の振り。
だからこそバッターは戸惑い、なかなか捕えることができない魔球に感じるのだろう。

川上さんは針の糸通しに例えた。
自分では針穴に通しているつもりが、実際糸は上を通過したり、横をすり抜けていったりするのと同じ。

バッターにとっては、ここで捕らえた!と思った位置にボールがあざ笑うかのように避けていくわけだ。

川上『とにかくピッチャーは錯覚を起こさせる球を持っていた方がいい。いつまでも経っても結論が出ないボールが強いと思います』

腕が振れている限り、大野は大丈夫!

気になるのは現役ピッチャーで錯覚を起こさせる投げ手は誰なのか?
川上さんはその問いに即答。
それは中日ドラゴンズのエース、大野雄大投手のツーシーム。

大野投手の投球スタイルは精密機械のようにコーナーの四隅をきっちり投げ分けるタイプではなく、なんとなく投げるタイプ。
だからこそストレートとツーシームを投げる際、腕の振りが一致するようになったことが大野投手のピッチングスキル向上につながったと川上さんは断言。

川上『腕を振れるというところは自分に優先権があるからね』

バッターにはだましてナンボ!そんな言葉が聞こえてきそうだった。

ダルビッシュ投手(カブス)や田中投手(ヤンキース)も、すべてバッターの手前で変化する球を操れるからこそ、メジャーリーグの猛者たちに真っ向勝負できると川上さんは言う。

川上『バッターから見たら、手前で変化するからまったく分からんような感じ。だからいつまで経っても打てない。大野投手も同じだと思う』

ツーシームを投げる際、今のようにしっかり腕が振れている限り、ストレートの威力も相まって、簡単には打たれることはないと、大野投手を評価する。

川上『今の大野にとって、ツーシームなしで野球しようとかなると一番キツいのでは?むしろ、ツーシームありのストレートなしならしっかり勝負できるはず』

ピッチャーは二通りのタイプ

ピッチャーには二通りのタイプがあると川上さんは話す。ひとつは、バッターのことを考えて投げる人。もうひとつは、自分が気持ち良く野球ができることを考えて投げる人。

川上『ボクもそうだったですけど、大野投手はたとえバッターにとって好きな球かもしれないけど、自分自身がこれは絶対打たれないとインパクトの強い球が投げられたら、それは打たれないんだと思っているはずです。(バッターもオレも)同じプロ同士やと。バッターの読みが正解かもしれんけど、読み通りに投げた方が強いと思う』

要は狙われた球を投げたとしても、腕をしっかり振り、魂のこもった球であればバッターを抑えられるということ。

ガチンコ勝負に来たら、オレが絶対勝つ!
強い気持ちがあれば、バッターにいくらこちらの意志を悟られても打ち取れる。

打てるものなら打ってみろ!
それがプロのピッチャー。
日本プロ野球、そしてメジャーリーグを16年戦い抜いた“野球人の矜持”に聞こえた。

(竹内茂喜)

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