堂上直倫、過去への逆襲。新打法で挑む「ドラゴンズ二遊間戦争」

堂上直倫、過去への逆襲。新打法で挑む「ドラゴンズ二遊間戦争」

「どうしてボクじゃないのか、と自分を責めないことにしたんです。それより、今、自分がもっとすべきことは何なのかだけを」

プロ13年目、最高の沖縄キャンプが続く堂上直倫(どのうえなおみち)選手。

いろんな経験を積ませていただいてますと、感謝するからこそ、チームのために、自分のためにするべきことがあるはず。

2006年秋の高校生ドラフト会議で、地元愛工大名電の星は、ジャイアンツを含め3球団競合。入団以来、ドラゴンズファンは、堂上兄弟に別次元の応援をしてきました。

何度もレギュラーの座を奪うチャンスかありました。ここ沖縄キャンプで想い出すのは、かつて、名手・井端選手が目の不調などで離脱。当時絶好調の中で迎えたチャンスでしたが、鎖骨を負傷するアクシデント。

以降、チームの大変革期にあって、バイプレーヤーとして、途中出場のサポート的立場で、守備の安心感は絶大です。

そして、新体制の与田ドラゴンズ。昨秋から取り組む新打法で、課題の打撃を克服中。存在感は増し、まさに今、控えに甘んじレギュラーを取られてきた過去に対する堂上選手の逆襲が始まっています。

初めて見せる表情

ただ、堂上選手は、人が良く、いつも冷静。

「自分で言葉にしちゃいけないけど、普通に考えたら、開幕スタメンは、一塁からビシエド、周平、京田に福ちゃん(福田)、ですよね。根尾君もそのうち必ず出てくる。根尾君については、松坂さんがおっしゃってましたよね。プロの怖さを知らないまま主役になっちゃった方がいいかもと。ボクも12年間、積ませてもらってるから、怖さは分かります」

「ただ、ですね、」

堂上選手の表情が、初めて見るものに変わりました。

「長いシーズン、毎年、必ず何かがあるんです。その時のために、準備だけをしっかりやる。もちろん、レギュラーを目指さないなんて、あり得ません。言い訳も作りたくない」

また、愛する奥さまにも絶妙なタイミングで、言われるそうです。「あなたの立場でイラついてどうするの、イイことも私たちに来てくれなくなるわ!」と。今キャンプ、お子さんが幼いためキャンプ地には呼べないそうですが、兄の剛裕さん※を含め、たくさんの家族、味方がいます。
※堂上剛裕さん。今季からジャイアンツコーチ。

それと、もう一つ。堂上選手はスマホを取り出すと、こんな話を教えてくれました。

「この前、Yahoo!ニュースで読んだんですけど、FAで丸選手がジャイアンツに入りましたよね。その時の亀井さん※のコメントが、心に刺さりました。『ボクにとって間違いなく、強力な外野手のライバルになるけど、チームが同じ目標に向かうためには、歓迎すべきこと』ですって。ずっと前から打撃理論も尊敬する亀井さん。立場も実績も違うので、失礼かもしれませんが」
※ジャイアンツ・亀井善行選手。

自分でハードルを下げたくない

その打撃理論といえば、堂上選手の新打法は、北谷キャンプを視察した谷繁元信元監督も高評価。

「ナオ(直倫)は、毎年フォームを変えるのが、北谷名物だったからね。今やってるバットを寝かせて、しっかりとしたトップ位置から最短距離で、ボールを捉えられてますね。とにかく、もう変えるな!」(谷繁氏)

それを聞いた堂上選手、「秋に有り難く契約していただきながら、自分でハードルを下げたくない。開幕スタメンを目指さないなんて、ないです」

キャンプ地宿舎に近い大好きな焼肉店にて。菜箸で几帳面に、ロースの焼き加減を確かめながら、

「ボク、お気に入りの店にでは、特上ロースより、ロースを頼んじゃうんですよね。油、カロリーも考えて。それと、明日の対外試合、スタメンをもらえそうなので、控えめで」

新打法のバイプレーヤー、堂上直倫。ポジション未定も、開幕スターティングメンバーの場内アナウンスを受けるのは、この男かもしれない。

【CBCアナウンサー 宮部和裕 CBCラジオ「ドラ魂キング」(毎週水曜午後6時放送)他、ドラゴンズ戦・ボクシング・ゴルフなどテレビ・ラジオのスポーツ中継担当。生粋の元少年ドラゴンズ会員。山本昌ノーヒットノーランや岩瀬の最多記録の実況に巡り合う強運。早大アナウンス研究会仕込の体当たりで、6度目の優勝ビール掛け中継を願う。】

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