お正月どんなゲームで遊びましたか?人生ゲームあり百人一首あり

お正月どんなゲームで遊びましたか?人生ゲームあり百人一首あり

子どもの頃のお正月は、夢の期間だった。家族はもちろん親戚が集まり、おせち料理の中で好きな味を取り合って食べた後は、ひたすらゲームに興じた思い出がある。普段は仕事に忙しい大人たちも参加、そのリラックスした空気が“子供心”にも嬉しかった。
つかの間「昭和」の時代に旅をする。

「人生ゲーム」のリアリティ

真っ先に思い出すのは「運命ゲーム」(任天堂)と「人生ゲーム」(タカラトミー)である。いずれもルーレットを振りながらコマを進めて、自分の道を歩んでゴールを目指す。それを「運命」と呼ぶか「人生」と呼ぶか、そんな難しい哲学に関係なく、子どもの頃はゲームに夢中だった。
「運命ゲーム」は、実業家、歌手、宇宙飛行士などどんな仕事に就くのかが注目ポイントだった。
「人生ゲーム」は、コマが車の形をしていて、そこにピンを差す穴が空いていた。進行の中で結婚したり子どもが生まれたりすると、新たなピンが増えていき、一緒に盤上を進んだ。「人生ゲーム」で特に印象深かったことは「株」を購入できるルールがあり、持っている株がルーレットによって高騰したり暴落したり、それによって財産の多寡が決まった。その財産も単位が「ドル$」だったことも印象的だった。

今も昔もゲームは進化する

画像『写真AC』

令和の時代に入って、この伝統のボードゲーム「人生ゲーム」に新しく「人生ゲーム+令和版」が加わった。ゲームの副題には「目指せ TOP OF インフルエンサー」とある。「インフルエンサー」は乃木坂46の歌のタイトルで広く知られるようになったが、直訳すれば「影響を及ぼす人」、情報発信をすることで多くのフォロワー(あとに続く人)に影響をもたらすという、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)時代の言葉でもある。これだけでも隔世の感があるが、この令和版の「人生ゲーム」ではお札を使わない。「フォロワー」を集めることで勝負を競う。「競う」ということも誤解を招く。スタート地点もなく、ルーレットが示す場所から自分のゲームを始める。まさに「人生の価値はお金だけではない。お札のない人生ゲーム。」とパッケージに書かれているだけのことはある。
価値観が多様化した時代を象徴したスタイル、と昭和時代の「人生ゲーム」で遊んだ人間として分析してみる。

坊主めくり衝撃のひと札とは?

「百人一首」でもよく遊んだ。
「百人一首」は、100人の歌人の和歌100首をカードにしたもので、絵入りの100枚と「下の句」のみを平仮名で書いた100枚、合わせて200枚から成る。
最初は「坊主めくり」から楽しんだ。絵入りの100枚を裏返しに積み上げて、1枚1枚めくっていく単純なゲーム。最後に獲得枚数を競う。男性歌人が出ればそのまま手持ち札に、「姫」と呼んでいた女性歌人が出ればもう1枚引くことができる。しかし坊主が出たら、手持ちの札はすべて“没収”されて、次に「姫」を引いた人がそれを持っていく権利を得た。坊主の中で「蝉丸」という頭巾をかぶった歌人を引くと「失格」、その人にとってのゲームは終わる。このルールは全国それぞれに地域ルールがあることを了解いただきたい。ちなみに蝉丸さんの和歌は次のものだ。
「これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬも逢坂(あふさか)の関」
出会いと別れを描いた素敵な歌だ。

百人一首かるた勝利のツボ

画像『写真AC』

少し成長すると「百人一首かるた」を楽しむようになった。
平仮名で書かれた「下の句」カード100枚を並べて、親となった人が、絵入り100枚の和歌を読み上げる。これは普通のかるた取りと同じルール、早いもの勝ちである。最初に覚えた歌は「下の句」でいう「きりたちのぼるあきのゆふぐれ」だった。上の句の「むらさめの」と呼ばれたら、あらかじめマークしておいた「きりたち」札を取った。しばらくして分かったことだが、これは実に合理的な戦略だった。百人一首の内、「む」で始まるのはただひとつ、さらに「下の句」が「き」で始まるのもただひとつ。ということで、「む」という言葉が出れば「き」を取ればいいわけで、そこに迷いは一切ない。ちなみにこれは寂蓮法師の和歌だった。
「村雨(むらさめ)の露もまだひぬ槇(まき)の葉に 霧立ちのぼる秋の夕暮れ」
とことん、坊主に縁があるようだ。

新型コロナウイルスの直撃を受ける「令和」2度目のお正月。感染防止のため、親戚や友人が集うことは難しい上に、ゲームやかるた札に触る前に手指消毒まで必要?
しかし今は、そんな中にインターネットゲームが加わった。これなら離れていても楽しむことができる。いろいろな工夫をしながら、大切な人たちとの“絆”と“縁(えにし)”だけは絶やすことのない新年になりますように。

【東西南北論説風(202) by CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

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