株式会社CBCテレビ
番組審議会
第683回CBCテレビ番組審議会
開催日 | 2022年11月10日(木) |
---|---|
出席委員 (敬称略) |
伊藤孝紀、梅村清英、大須賀彩、鹿目由紀、 島田佳幸、戸苅創、山下陽子、渡邉好作 |
書面参加 (敬称略) |
大谷恭代、宮田昌彦 |
議題 | 1. 番組審議『やったぜ!じいちゃん』 |
1. 番組審議『やったぜ!じいちゃん』
放送日時 | 2022年5月22日25:20~26:20 |
---|---|
スタッフ | プロデューサー 藤井稔(コンテンツ戦略部) ディレクター 仲尾義晴(ホーボーズ) |
出演 | ナレーション 塩見三省(俳優) |
《編成意図》
CBCテレビでは、多様な社会問題等を伝えることや自社制作力の向上を目的に、ドキュメンタリーを放送しています。
今回の作品は「50年前、CBCに障害者の父が旅に行く様子を取材してもらった。もう一度取材に来てください」という手紙をきっかけに取材を始め制作し、単発番組として編成しました。
《番組内容》
生まれつきの脳性マヒで身体が不自由な舟橋一男さん、74歳。そんな舟橋さんの日常をCBCが50年前に撮った映像を交えながら描く。
子どもの頃には「20歳までは生きられない」と診断された一男さん。しかし、結婚してふたりの娘をもうけ孫も生まれた。74歳の今も家族に囲まれ、楽しく元気に暮らしている。現役で印刷の仕事をこなし、積極的に外出もしている。
一男さんに常に寄り添っているのが妻の瑞枝さん。今年で結婚して45年。一男さんの流暢ではない語りを100%理解し、夫の手となり、足となり、口となって支えている。
50年前の舟橋さんをCBCが撮影した映像。障害者4人だけで他人の手を借りずに北陸へと旅する様子を記録したもの。その貴重な映像を織り交ぜながら、舟橋さんの感じること、思うこと、日常の暮らしぶりを静かに描いていく。
《審議委員の主なご意見》
- 視聴者からの一通の手紙がきっかけで一つの番組が作られたことに、メディアの力を感じた
- 50年前の映像は障害者を取り巻く状況がありのままに映っており、様々な配慮が一切なかった時代に、前向きに生きてこられた舟橋さんの意地とプライドがよく見て取れた
- 発言内容をフォローするテロップがほとんど無いことで、奥さんの通訳に集中させられ、夫婦2人の繋がりを強く感じられた
- 医学的には、舟橋さんは運動障害があるが知能障害は無い方なので、うまく言葉が発せないだけ。奥さんの通訳レベルには驚いたが、もしかするとコンピューターで分析すれば会話ができるような未来がくるのではないか
- 内容がシンプルで作為的でないため、取材された中身だけに没入できた。ドキュメンタリーとして成功しているのだろう
- 障害とは、昔は“個人の”問題だといわれていたが、最近は“社会の”問題なのだといわれ始めている。この番組で50年前の映像と現在の公園の映像を見せる構成が、その捉え方の変化を見事に押しつけがましくなく織り込んでいた
- この社会は、この先も万人にやさしい社会であり得るのか、番組はそのような問いかけをしていると思う
- 番組全体は少し単調にも感じた。場面展開で何かもうひと工夫あってもよいかと思った
- 障害については、テレビでも隠すことなくどんどん発信していってほしい。目にする機会が増えれば、解決する機会になる
- 50年も前にこのような取材をした制作者が地元メディアにいて、それが時代を超えて今の取材と重ねられることはとても重要なことだと感じた
- このような番組は、本来は好んで見ないような視聴者に見てもらうことに、民放で放送する価値があると思う。もっと多くの視聴者に見てほしい