株式会社CBCテレビ
番組審議会
第679回CBCテレビ番組審議会
開催日 | 2022年6月10日(金) |
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出席委員 (敬称略) |
伊藤孝紀、大須賀彩、戸苅創、山下陽子、 渡邉好作 |
オンライン出席 (敬称略) |
島田佳幸 |
書面参加 (敬称略) |
梅村清英、大谷恭代、鹿目由紀、宮田昌彦 |
議題 | 1. 番組審議 『つむぐ ~未来の絆~』 |
1. 番組審議
『つむぐ ~未来の絆~』
放送日時 | 2022年5月26日(木)放送分 |
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放送エリア | CBCローカル |
スタッフ | プロデューサー 大谷佐代(コンテンツ戦略部) ディレクター 近藤駿一(情報制作部) |
ナレーション | 山内彩加(CBCアナウンサー) |
《編成意図》
CBCテレビでは、多様な社会問題等を伝えることや自社制作力の向上を目的に深夜帯を中心にドキュメンタリーを放送しています。
自社制作のドキュメンタリーは、社内各部署からの企画を元に年間6本程度放送しており、今回の作品は、2020年から夕方ワイド『チャント!』の中で継続的に取材し特集した内容を更に深掘りすることで、独立した番組として放送しました。
《番組概要》
亡くなった人が「もし生きていたら」という、故人の未来の姿を描く“絆画”
絆画を描くのは、愛知県在住・元似顔絵作家の大村順さん・37歳。
依頼者であるご遺族との打ち合わせ、絆画を制作する大村さんの活動に2年間密着しました。
絆画に描かれるのは「夢を叶えた青年」や「成長し、子を宿した妹」「予定のなかった結婚式」、そして「大村さん自身の家族」もあった・・・
実現できなかったから、叶わなかったから、望み通りにはならなかったからこそ『絆画』には、他の絵画にはない独特の魅力がある。
故人の「面影」と依頼者が求める「理想像」の狭間で日々不安と戦いながらも制作する大村さん。
彼が描き出す絆画と、遺された者たちの心模様を丹念に取材しました。
《審議委員の主なご意見》
- コロナ禍で大切な人とのお別れをきちんとできない方も多いなか、改めて「死」と向き合う意味を考えさせられる良い内容だった
- 命の大切さを伝える講演活動もされている大村さんに、素晴らしい人柄を感じた
- 大村さんの絆画が、遺族にとって視点が過去から未来へ向く転換点になっており、それを視覚的に表すことは、遺族にとって大きな働きかけになるのだろう
- 日々暗いニュースが多い中、前向きなドキュメンタリーを見てやさしい気持ちになれた
- 「絆画」について、もう少し種明かししながら構成した方が、視聴者にはわかりやすかったのではないか
- 「ハリネズミ」の“ハ”だけ赤いなど、文字のテロップで視覚的なインパクトがあり、どんな意図があったのか気になった
- ナレーションのタッチはとてもよかったが、コメントの量が少し多いような気がした
- シンプルで見やすい反面、1時間見続けるには単調な繰り返しのようにも感じてしまった
- 敢えて意見するならば、お嬢様とご主人を亡くされた女性の取り上げ方がやや過剰だったのではと感じた
- 感動的な場面が同じ熱量で羅列されていくだけでなく、もう少し何かが必要な気がした
- 絆画を受け取った家族の感動的な場面しか描かれていなかったが、実際には、再び無力感に襲われるケースもあると思う。そういった負の感情に向き合う姿も掘り下げてほしい
- テーマ曲に使われていたWhat a Wonderful Worldは、歌詞に様々な色が出てくるが、それが大村さんの絵とリンクしているようで印象深く感じた
- AI技術などで合成写真の加工が可能な時代だが、取材で得た情報を反映させた手描きの絵には、何も敵わないと思った
- 大村さんの絆画作家としての取り組みは、活躍の場を求める若いクリエイターにとっても刺激になっただろう
- 放送後に大きな反響があったのではないか。同じような絵を描く人が増えれば、もっと多くの人が救われるのかもしれない