番組審議会

第659回CBCテレビ番組審議会

開催日 2020年6月5日(金)
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、
 書面開催
出席委員
(敬称略)
沖田厚子、勝部陽子、加藤宣明、加藤博、
島田佳幸、竹内秀樹、土屋諭、戸苅創、
野口あや子、土方邦裕
議題 1. 番組審議
 『CBC創立70周年記念「根のことの葉
  伊勢神宮の森が倉本聰に伝えたこと」』

1. 番組審議
 『CBC創立70周年記念「根のことの葉
  伊勢神宮の森が倉本聰に伝えたこと」』

放送日時 2020年3月28日(土) 16:00~17:00
放送エリア CBCローカル
スタッフ プロデューサー 佐藤浩二(メディアコンテンツ局)
ディレクター 増田達彦(中日本制作所)
語り 渡辺美香(CBCアナウンサー)
朗読 中西直輝(報道部)

《企画意図》

今回は、人の自然に対する畏敬の念が薄らいでいないか、と警鐘を鳴らしている脚本家、倉本聰氏が伊勢神宮に広がる神宮宮域林を訪ね歩き、その倉本氏に長年取り組まれている点描画を描いてもらい、氏の想像力で「こと(言)の葉」として、視聴者に自然の大切さを伝えます。
自然災害が多発する近年、古来の自然が残る神宮の森を見つめることで、人間の未来に向けた自然との暮らし方に思いを巡らす機会にして欲しいというのが目的です。
番組では、倉本氏に旧知の友、阿川佐和子さん、さだまさしさんを交え、辛辣な事柄もユーモラスにわかりやすく伝えてゆきます。また、神宮に残る古来の生態系を高品位の映像でアーカイブとして残すことも、この番組の大きな役割としています。

《番組内容》

北海道富良野に根を下ろして40年余、樹々に囲まれて暮らす脚本家、倉本聰氏が伊勢神宮の森を訪れます。神宮の樹には不思議と地上に根をさらすものが多く、その力強さ、妖艶な姿に魅せられた氏は、それらから樹々の「こと(言)の葉」を感じ取り「点描画」にしてゆきます。
樹々だけでなく、不思議な生きものと出会った氏は、この森には「神様の匂いがある」とスケッチブックに記します。その氏の元に旧知の友、阿川佐和子さんとさだまさしさんが集い、それぞれの自然に対する思いを語り合います。「この伊勢の森には、特別な超音波が流れている」と阿川。「緑でも濃いのや薄いのや、色とりどりの山が崩れない」とは、さだの父親の教え。
「人は自然に戦争をしかけようとしているのではなかろうか?森の時間と人のスピードが合っていない」と語るのは倉本。
神宮林には希少で個性的な花や生きものが暮らし、氏は彼らに口笛で語りかけます。森の時間の中を口笛が響くようです。
春、夏、秋と神宮の森を描いた倉本氏はその点描画にこのように「こと(言)の葉」を添えました。

《審議委員の主なご意見》

  • 豊かな森の自然を支える根は森の礎であり、萬物の根っこであるという認識に共感した
  • 教育的意識が高い作品で、学校や社会教育の場に組み込むことができるとよい
  • 熱っぽく語る倉本さん、その熱量にほだされるさださん、理知的な阿川さん、のかけ合いがとても良かった
  • 神宮の森の花や生き物の映像が鮮やかで4Kの威力を感じた
  • 伊勢神宮の歴史を学べた
  • 信仰の地としての森を描くのか、環境問題としての森を描くのか、微妙に揺れているように感じた
  • 全体的にセンスが立っているが、もう少し論理的なてこ入れが入ると教養番組としての質が上がる
  • 伊勢神宮は神聖な特別な存在なので、木の根の話をするなら、もっと生活に影響を与えやすく自然の大切さを理解しやすい場所や場面がありそう
  • 考えさせる事が目的だと思うが、番組としてはもう少しメリハリがほしい
  • 個性や感性の差で観る人を選ぶ内容
  • 自然への畏敬の念が薄れていないかという倉本さんの危機感を、伊勢神宮の森や生き物を通して上手く番組化していた
  • 「根のことの葉」というタイトルは、やや懲りすぎでイメージがつかみにくい
  • 倉本さんを「先生」と呼ぶナレーションの主語は誰なのかが気になり、やや番組への集中を妨げた
  • 自然の音が流れているときのバックミュージックはもう少し小さくてもいいのでは
  • 温暖化や伊勢の森の超音波などいろいろ考えさせられたが、メッセージが多すぎるのではと感じた
  • 実際の視聴者はシニアが多かったかもしれないが、内容的には若い層に見てもらいたい
  • 自然災害と私たちの町との関係や将来への対策、自分自身や会社と自然との向き合い方を考えた

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