株式会社CBCテレビ
番組審議会
第654回CBCテレビ番組審議会
開催日 | 2019年10月11日(金) |
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出席委員 (敬称略) |
鵜飼裕之、黒邉雅実、島田佳幸、清水綾子、 土屋諭、戸苅創、土方邦裕、野口あや子 |
書面参加 (敬称略) |
水野明久 |
欠席委員 (敬称略) |
加藤宣明 |
議題 | 1. 番組審議「土がくる~規制なき“負の産物”の行方~」(手話解説つき)
2. 番組種別放送時間報告 |
1. 番組審議
「土がくる~規制なき“負の産物”の行方~」(手話解説つき)
放送日時 | 2019年9月22日(日)25時55分~26時50分 |
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プロデューサー | 大園康志(報道・情報制作局 報道部) |
ディレクター | 有本 整 横山朋未(報道・情報制作局 報道部) |
撮影 | 民部靖人 岡村大輔(CBCクリエイション) |
ナレーション | 石井亮次(CBCアナウンサー) |
《企画意図》
ビルの建築、宅地の造成などあらゆる土木開発の過程で発生する「建設残土」。
それは、発展や成長の負の産物でもある。国内では年間1億トン以上発生し、その大部分が行き場がなく空き地や山中に捨てられる現実がある。10年ほど前から各地で土砂崩れなどを起こして社会問題化していたが、一方で建設残土は管理する法律が存在せず、野放し状態になっているのが現状である。
本企画では建設残土を不当に自分の土地に運び込まれた女性と、大型船で数万トンの残土を地元の山林に運び込まれているある街をおよそ1年に亘って追跡し、成長の陰で放置されている建設残土の実態を告発するものである。
《番組内容》
焼き物で昔から土とは縁の深い街、愛知県瀬戸市。ここに住む日比野さんは土木業者の男に頼まれ、リニア新幹線の開発で出たという建設残土を休耕田に受け入れた。しかし約束の3倍もの高さに積み上げられ地元から苦情が相次ぐ事態に。度重なる交渉にも応じない業者。行政にも解決を訴えるが全く動かない。そのワケは、建設残土を管理する法律が日本には無いからだ。撤去を求める地元住民と無視を決め込む行政の板挟みになり苦しむ日比野さん。建設残土を巡っては、全国各地で積み上げられた残土が土砂崩れを起こして死者も出るなど、ここ数年問題となっている。
一方、豊かな海と山に囲まれた、三重県尾鷲市。ここでは大型船で関東や関西から残土が運び込まれ、山林を切り崩したところに大量に捨てられていた。そこには、都会の開発のツケが地方に回されている実態が見えてくる。地元住民は自然環境の悪化を恐れていたが、法規制がない中、野放しで搬入は続いていた。こうした中で、独自に残土を規制する条例を作ろうと動き始めた地元の自治体。
だが当事者の残土搬入業者は、社会の発展には必要な事業だと断言する。
土を巡る2つの街で見た、問題の決着とは。
《審議委員の主なご意見》
- 土地開発に伴い、残土に限らず“負の産物”によって同種のことは起きる、ということ自体を知らしめる番組
- 建設残土の問題は新聞やネットで認識はしていたが、この番組によって切迫感を持った。テレビの力を感じた
- 最初不思議に感じた低く単調な調子のナレーションは、内容だけをスッと伝えるための演出と気づいた
- 前半が重く難しかったが、次第にだれが被害者なのか?というミステリーのような面白さがあった
- 番組タイトルが印象的でインパクトがある
- そもそも残土を受け入れることを市に申請したのは土地所有者自身なので、番組を見た人が「行政は何をやっている!」という感覚で受け止めてしまうと行政が気の毒
- 土地所有者と残土持ち込み業者との間の契約内容、市への農地改良に関する申請内容、業者が不起訴処分になった理由についても具体的に示されるとさらに良かった
- 川の濁りが直ちに建設残土に起因する印象になっていたことはやや短絡的に感じた
- 「自然だけでメシが食えると思いますか?」という業者の言葉が印象的で、個人的にも今後残土問題を考えるきっかけになった
- なぜ残土を規制する法律がないのか知りたかった
- 残土問題について海外ではどんなルールがあるのか、という情報まであると問題解決のヒントになったかもしれない
- 解決の出口を「行政による規制が必要」という一点に収れんさせずに、重層的に存在する各問題点の深掘りを望む
- 深夜の放送ではもったいない
~手話放送について~
- テロップを併用したり、音を聞かせるときは手話画面を外したりするなどの工夫もしてはどうか
2. 番組種別放送時間報告
編成担当が今年の4月から9月までの第三週の番組種別放送時間について前年との比較を交え報告を行った。