番組審議会

第636回CBCテレビ番組審議会

開催日 2017年12月8日(金)
出席委員
(敬称略)
河本二郎、島田佳幸、嶋尾正、巣山芳樹、
戸苅創、濱田典保、村瀬幸雄
書面参加 北川尚子、吉川トリコ
欠席 鈴木康弘
議題 1. 番組審議

伝える '17「ヤメ暴~漂流する暴力団離脱者たち」

2. 年末年始特別編成の説明

1. 番組審議

「ヤメ暴~漂流する暴力団離脱者たち」

放送日時 2017年11月5日(日) 25:40~26:53
プロデューサー 大園康志(報道局 報道部)
下野賢志(報道局 報道部)

《企画意図》

1992年に暴力団対策法が施行。2011年には暴力団排除条例が全都道府県で施行された。国や地方自治体、社会が包囲網を張ることで、暴対法施行後の20年あまりで、暴力団員の数は、6万人以上から約1万8千人にまで激減した。その一方で、暴力団をやめた「ヤメ暴」が、約4万5千人生まれたことになる。彼らは社会に戻ることは出来るのか?それとも彷徨い歩いて、元の居場所に戻るのか?「ヤメ暴」たちの日常を追うことで、暴力団壊滅の実像と課題を浮き彫りにする。

《番組内容》

香川県善通寺市の建設会社「西山組」が番組の舞台。会長の西山俊一(66歳)は、かつて山口組系暴力団の組長で、敵対組織をダイナマイトで襲ったこともあったという。太ももには拳銃で撃たれた跡。腹には短刀で刺された跡が。その傷跡を見せながら彼は、『やるのも英雄。やられるのも英雄。それがヤクザの世界。でも、それは間違いです』と静かに語る。西山が足を洗ったのは38年前のこと。仲間とともに「西山組」を立ち上げ、元暴力団員=「ヤメ暴」を従業員として受け入れてきた。現在は約10人が寮に住み込みで働いている。また、西山は10年前にNPO法人「日本青少年更生」を設立。全国の刑務所を訪ね、服役する暴力団員らと面会したり、手紙のやりとりをしたりしながら、組からの離脱をうながし、出所後の彼らを雇って自立・更生を応援してきた。西山の活動のウワサは塀の中でも広がっている。
暴対法や暴排条例の施行で暴力団は締め付けられ、その数は年々減少。国の施策は確実に効果が表れているように見える。しかし、そう喜んでもいられない現実がある。西山の元には塀の中から救いを求める手紙が数多く届く。多くの暴力団離脱者が新たな働き場所を見つけられず、また悪事を働くという悪循環が起きているというのだ。
番組は、西山組に辿りついた元暴力団員「ヤメ暴」たちの日常に密着。心を入れ替える肉体労働、現実逃避、そして、挫折という“現実"も、カメラが見つめる。法令や取り締まり強化で、確かに暴力団員の数は減った。でも、それで本当に大丈夫なのか?
「ヤメ暴」と向き合う西山は言い放つ。『御上は、ただ締め付けるだけ。それだけでは、本当の解決にならないんだ』と。

《審議委員の主なご意見》

  • 重たく意義のあるテーマを取り上げた見応えのある番組だった
  • 対象に踏み込み過ぎず一歩引いた視点で撮られているが、とてつもなくスリリングな作品
  • 元暴力団員が働き場所をみつけられない事実について、その対策を考えなければならないと声高に言っていないところが良い
  • 小指が欠けたアップの映像が何度もありテーマのイメージ付けには非常に効果的だったが、自分の周囲の女性は「見られない」と言っていた
  • 方言のためなのか、言葉が聞き取りにくい登場人物の発言にはテロップをつけてほしかった
  • ヤクザの人たちをどうしようもない人たちと突き放してしまうのは簡単だが、自分だって一歩間違えばあそこに立っていたかもしれないと思わされてしまう
  • 慈悲深くも、皮肉っぽくも聞こえる國村隼さんのナレーションが、複雑な味わいで絶妙だった
  • 更生に取り組んでいる元暴力団員たちが、過去どんな罪を犯したのかがわからないと更生の様子について公平な評価がしにくい
  • 元暴力団員が一般の人間関係が難しいと言っているのを聞き、そうかもしれない、と思った
  • 武道の達人など自分に自信のある人は暴力団をやめても成功するのではと感じた
  • 40歳を過ぎると人は変わらない、早い時期に更生の道に引き入れなければならないと思った
  • 国の施策が現段階では暴力団を排除する所で終わってしまっているという現実がよく理解できた
  • 番組を通して川の流れが印象的に映し出され、人間は社会という大きな流れの中で翻弄される木の葉のような存在であると感じた
  • 人々はふだん見ることができない世界に興味を持つので、この種のドキュメンタリーはテレビの存在感を示す
  • ドキュメンタリーの制作を続けることはテレビ局の人材育成の面からも非常に良いと思う

2. 年末年始特別編成の説明

番組編成担当が説明し、了承を得た。

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