与田ドラゴンズに喝!かつての強力“助っ人”たちが海を渡って駆けつける!

与田ドラゴンズに喝!かつての強力“助っ人”たちが海を渡って駆けつける!

2020年の中日ドラゴンズには、懐かしい顔が帰ってくる。それも海を渡って。米国からはアロンゾ・パウエルさん、そして韓国からは李鍾範(イ・ジョンボム)さん。どちらもドラゴンズファンにはなじみの深い“助っ人”だった。

愛すべき“ゾウさん”は首位打者の常連

球団創設84年目を迎えるドラゴンズには、これまで大勢の外国人選手がやって来た。
1年も経たずに帰ってしまった選手もいれば、長くチームで活躍してファンに愛された選手もいる。アロンゾ・パウエルさんは後者であろう。打者ではトーマス・マーチン、ケン・モッカそしてレオ・ゴメスらと並び、竜党に親しまれた。「ゾウさん」というニックネームからも分かる。
パウエル選手は高木守道監督時代の1992年(平成4年)からドラゴンズのユニホームを着た。背番号は「30」。主にセンターを守った。パウエル選手は3年目に大きく飛躍した。1994年に打率.324で初の首位打者に輝くと、翌95年、さらに96年と毎年のように首位打者を取る。同じこの時期にパ・リーグではイチロー選手が首位打者を続けていたが、外国人選手として“3年連続”は初めてだった。1996年には176本でリーグ最多安打のタイトルも取っている。
このシーズンまで4年連続でベストナインにも選ばれていることからも、活躍ぶりは素晴らしかった。打席での怖さとか凄味とかはあまり印象に残っていないが、それは優しい人柄がにじみ出ていたからだろう。サイン色紙にカタカナを書くところからも、それは分かる。愛すべき巧打者だった。

パウエル・コーチへの期待

そんなパウエルさんが、コーチとして帰ってきた。2020年は1・2軍の巡回打撃コーチである。
与田剛監督とは現役時代に一緒にプレーした仲である。何より、現役引退後の米国でのコーチとしての指導経験が豊富なのだ。シアトル・マリナーズ時代はかつてそれぞれ両リーグで首位打者に輝いたイチロー選手とも一緒だった。
パウエルさんは11月に来日してコーチ契約した直後に、秋季キャンプが行われていた沖縄に飛んだ。この行動力がファンには嬉しい。リーグトップの打率ながら、ホームランも得点も少なかった2019年のドラゴンズ。新たな息吹を注入してほしい。

忍者マークのスピード選手

コーチ研修としてドラゴンズに帰ってくるのは李鍾範(イ・ジョンボム)さんである。
韓国ヘテ・タイガースで大活躍し、盗塁王3回、首位打者そしてMVP1回という輝かしい成績をひっさげて、1998年からドラゴンズのユニホームを着た。「韓国のイチロー」と呼ばれて、そのスピードは目を見張るものがあった。
カッコよかった印象を2つ挙げると、まずタイムリーやホームランなどを打ちベースを回る時、右の人差し指で「どうだ!」と言わんばかりに相手を指さす仕草だった。そしてもうひとつは、盗塁を決める度に、ヘルメットに「忍者シール」を貼っていったことだった。しかし、好事魔多し。1年目早々の6月に死球を受けて右ひじを骨折。その後、李選手のプレーから輝きが少なくなった。翌99年には内野手から外野手にコンバートされ、星野仙一監督の下で、韓国の先輩・宣銅烈(ソン・ドンヨル)投手やサムソン・リー投手と共に、リーグ優勝に貢献した。韓国代表選手として先のプレミア12でも活躍した息子の李政厚(イ・ジョンフ)さんは、実は李鍾範さんがドラゴンズ時代に名古屋で生まれた。そんな縁も嬉しい。自ら申し出て手弁当での「コーチ研修」と言うが、ドラゴンズの後輩たちへの逆アドバイスに期待したい。

マーシャル・コーチの夢よもう一度

かつての外国人“助っ人”がコーチとして帰ってきた例としては、近藤貞雄監督“野武士野球”時代のジム・マーシャルさんを思い出す。1981年(昭和56年)に近藤監督からの要請で1軍総合コーチに就任、翌82年には見事にリーグ優勝を果たした。
ジム・マーシャル選手は1963年(昭和38年)から3年間、一塁手としてドラゴンズで活躍した。「日本プロ野球初の現役メジャーリーガー」だったが、まさに「活躍」した。背番号「6」を背負い猛打爆発。オールスターゲームには3年連続で出場し、2年目の1964年には中日球場(現・ナゴヤ球場)の第2戦ではMVPに選ばれている。そんなメジャーの力をコーチとして発揮して、ドラゴンズの球団史にその名を刻んだ名選手だった。

アロンゾ・パウエルさん、そして李鍾範さん。名古屋の地に再び帰って来てくれることは、ドラゴンズブルーを愛してくれているからこそである。だからこそ、どうか長年続くBクラスからの脱出のために、そのOBパワーを発揮してほしい。再びの“助っ人”に期待している。

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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