青い血が流れるファンとして~私が選ぶドラゴンズ歴代ベストナイン~(29)

青い血が流れるファンとして~私が選ぶドラゴンズ歴代ベストナイン~(29)

ファンというものは、実はそういうものである。特に、プロ野球について言えば、それが顕著に表れていると思う。
「あそこは送りバントだね」
「投手交代のタイミングはあそこだった」
「代打でしょう?あそこは」
さらに、選手補強や背番号までそれぞれの構想を語りだす。
ファンのすべてが“評論家”、いや“監督”のつもりなのだ。そして、そこまでのめり込めるスポーツが日本のプロ野球であり、長い歴史の中での魅力なのだと思う。

勝手に選んだ歴代ベストナイン

そんなファンの一人として、中日ドラゴンズ歴代選手の中から、私が選んだベストナインをご紹介する。
投 手:杉下茂
捕 手:谷繁元信
一塁手:谷沢健一
二塁手:高木守道
三塁手:落合博満
遊撃手:立浪和義
左翼手:江藤慎一
中堅手:田尾安志
右翼手:トーマス・マーチン
まさに自分の主観たっぷりの選択である。誰を選ぶかによって、ファンとしての自分史が浮き彫りに出る思いである。しかし、いずれもすんなりと決めることができた。

竜ベストナインを語ろう

投手は、ファンになった小学生の頃から伝説として聞かされていた“フォークの神様”杉下茂さん。背番号20をドラゴンズのエースナンバーにした名投手だ。
捕手はプロ野球最多出場を記録した谷繁元信さん。何といっても野村克也選手が持っていた通算試合出場記録を初めて塗り替えた、そしてそれがドラゴンズのユニホームを着てのことだったことが、ファンとしてはとても嬉しい。
一塁手の谷沢健一さんは大きなケガを克服して首位打者を2回も獲得、その記録を達成したデーゲームにナゴヤ球場へ駆けつけた思い出から選んだ。
二塁手は文句なしでこの人。歴代のドラゴンズ選手の中、最も好きな選手であり、1974年に20年ぶりのセ・リーグ優勝の立て役者、バックトスの高木守道さん。
三塁手は取材でも深く関わった三冠男・落合博満さん。若い頃はセカンドを、そして後年ファーストも守ったが、ドラゴンズに移籍してきた頃、サードの守備で投手の一球一球に腰を深く落として守る、基本に忠実な姿が印象的であり三塁手での選出。
遊撃手には牧野茂さんという名選手もいるが、高校卒で入団し即レギュラーを獲得した立浪和義さん。最多二塁打のプロ野球記録を持ち、最初のヒットも最後のヒットも二塁打だった。
左翼手は江藤慎一さん。ドラゴンズ在籍は11年間と長くはないが、小学生だった自分にとってドラゴンズ4番打者といえば、背番号8のこの人しかいなかった。
中堅手は田尾安志さん。大好きな選手だった。電撃トレードの悲しみは今でも続く。ファンとしての涙と共に文句なしの選出。
右翼手は少々意外かもしれないが、やはり20年ぶり優勝の思い出からマーチンさん。3打席連続ホームランの鮮烈なデビュー、優勝した瞬間にファンに帽子を取られても大喜びした笑顔、ピザレストランで出会った温かい人柄、そしてアメリカ帰国後の電話インタビューなど様々な要素から選出した。

忘れてならないアライバコンビ

ただひとつ迷ったのは「アライバ」と呼ばれた、荒木雅博と井端弘和の二遊間コンビである。
落合監督によって鍛えに鍛えられたこの二人のプレイは、ファンとして大好きだった。広島カープとの試合で、センターに抜けようかという当たりをセカンド荒木が取り、ショート井端にバックトス、井端がファーストに投げてバッターアウトというプレイは、何度リプレイで見てもワクワクする。「アライバ」の真骨頂だろう。
守備を評価されるゴールデングラブ賞を2004年(平成16年)から2人そろって6年連続受賞していることからも、この二遊間のレベルの高さがわかろうというものだ。ただ今回は、どちらか一人だけを選ぶわけにいかず、二人そろっての次点とした。

あなたのベストナインは?

この他に幾通りものベストナインを選ぶことができる。それが球団創立80年の歴史であり、ファンの思いである。
ただ残念なことは、2015年シーズン限りで選手を引退した谷繁監督、そして現在は解説者として活躍中の立浪さん以外、ほとんどが、かなり以前の、すなわち歴史を感じさせる顔ぶれだということだ。もっともっと最近活躍したスーパースターが出てきてほしい。現役選手だったら、とにかく大歓迎だ。
球団創立80年の年を迎えた2016年、このベストナインに割って入ってくる新星の登場を心から願っている。ファンというものは“感動”はもちろんだが、“夢”を見たいのである。ドラゴンズブルーの夢は限りなく広がっていく。(完)

御礼

ドラゴンズファンの立場で半世紀の球団史を書いた本『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』(ゆいぽおと刊・2016年)をWEB用に加筆修正して掲載してきました。ご購読ありがとうございました。
連載回数は全部で「29」回、偶然ですが与田剛新監督が“剛球王”として活躍した現役時代の背番号「29」と同じ数字でした。その意味でも、愛しのドラゴンズ2019年シーズンに大いに期待が高まります。昇竜復活!がんばれドラゴンズ。

【CBCテレビ論説室長・北辻利寿】

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