中日ドラゴンズ夏の陣へ・・・残念な12球団最下位から脱出だ!

中日ドラゴンズ夏の陣へ・・・残念な12球団最下位から脱出だ!

交流戦も終わり、プロ野球のペナントレースもいよいよ本格的な夏の陣を迎える。2位以下が大混戦のセ・リーグで戦う中日ドラゴンズだが、発奮しなければならない調査結果が発表された。
慶應義塾大学・理工学部管理工学科の鈴木秀男研究室が毎年まとめている「プロ野球のサービスに関する(満足度)調査」である。応用統計解析の分野でマーケティング研究を進める中、野球好きな学生が始めたことがきっかけという。
「プロ野球の球団を応援しシーズン中に1回以上、応援するチームのホーム球場で試合観戦する人」を対象にインターネットによるアンケート形式で実施された。2017年シーズンが調査対象となっていて、今回はセ・リーグ785人、パ・リーグ739人の回答があった。

結論から先に言おう。総合順位で中日ドラゴンズは12球団で最下位だった。それも4年連続である。その前の年は11位だったから5年連続の低迷と言える。現在中日ドラゴンズは球団史上ワーストの5年連続Bクラスを続けており、まさにその期間と重なっている。
それ以前の数年は3位から5位の上位にいたから残念な状況である。
ちなみに今回の最新調査で総合ベスト3は、1位広島東洋カープ、2位福岡ソフトバンクホークス、3位横浜DeNAベイスターズだった。

調査項目は「チーム・選手」「球場」「ファンサービス」「ユニホーム・マスコット」「応援のきっかけ」「期待すること」などに分かれ、その内12球団の順位が判る質問はおよそ60項目ある。
『チームに魅力があると感じる?』
『選手に魅力があると感じる?』
『全力で戦い面白い野球を見せている?』
『チームの選手育成はよい?』
『ファンサービスは充実しているか?』
実は中日ドラゴンズはこうした項目の他「球場での応援」なども最下位で、全体の過半数の項目で最下位だった。

中日ドラゴンズにとって何か明るい要素がないか

それでも、中日ドラゴンズにとって何か明るい要素がないか、調査結果データの中を探した。球場についての質問の中、前回の最下位から急上昇した項目が2つある。「球場のビジョン・音響設備」は7位、「席からの試合の見やすさ」は8位に上昇した。特に前者については2017年シーズンからお目見えした横幅106メートルの巨大ビジョン「106ビジョン」の効果だろう。“セ・リーグ本拠地球場では最大スケール”を売りにした3つの巨大画面は迫力がある。
これも前回までの最下位から9位に浮上した項目に「公式スマホサイトの充実」と「球団情報誌の充実」の2つがある。後者は『月刊ドラゴンズ』が対象となるのだが、チームのトピックスから始まり特集や注目選手インタビュー、さらに球団史のコーナーなどファンにとっては読み応えある内容になっている。最新号の表紙では見事復活した“平成の怪物”松坂大輔投手が微笑んでいる。
そしてドアラ。このキャラクターの人気は根強く、2012年に3位だった勢いこそないものの、今回も「マスコットの充実」という項目で7位だった。ドアラ恐るべし。

調査全体で特筆すべきは、横浜DeNAベイスターズの大躍進である。中日ドラゴンズがリーグ優勝の常連で調査結果の上位にいる時代は、このファン調査でもずっと最下位が定位置だったベイスターズだが、前回いきなり4位。そして今回は総合ベスト3入りである。
その原動力は調査結果から分析するとファンサービスだ。「チームのファンサービスは充実しているか?」「選手とファンの交流は十分か?」この2項目で、ベイスターズはここ2年間、3位の座をキープしている。
たしかに横浜スタジアムの観戦は楽しい。5月の「BLUE☆LIGHT SERIES 2018」と題した3連戦シリーズは、宇崎竜童さんや諸星和己さんがスペシャルゲストだった。残念ながら宇崎さんの登板日は雨天中止となったが、諸星さんはゲーム終了後に光GENJI時代のヒット曲を歌い、球場を大いに盛り上げた。
調査を指導した鈴木秀男教授は次のように分析する・・・
「強い球団はまずファンサービスから始めている。ここで評価を得て、チーム力を上げていく。ファンが喜ぶことによって選手も活躍する。日本ハムと広島、そして劇的に変わったのは横浜DeNAだろう」

中日ドラゴンズはファン調査における数々の最下位脱出に向けてどう歩めばいいのか?
「チームを応援するようになったきっかけ」という質問で、「地元にあるチームだから」という答が中日ドラゴンズはセ・リーグでトップだった。その一方で「魅力的な選手がいたから」という答で遅れを取っている。
また「チームに期待することは何?」という質問で、広島、阪神、DeNAのファンは「そのチームが地域住民やファンの誇りとなりシンボルとなる」、ヤクルトファンは「常に選手が全力で戦い、迫力ある面白い野球を見せてくれること」と答えていることに対し、中日と巨人2球団のファンは「常に優秀な成績をおさめること」が最も多い回答だった。やはり強さも求められるチームなのだ。
これらのデータから中日ドラゴンズにとって「魅力的な全国区のスター選手を育てる。それが地元出身選手ならさらに大歓迎。そんな彼らが活躍する強いチームにして常に優勝争いをする」という方向性が見えてくる。もちろん同時にファンサービス向上は欠かせない。

「今はドラフトも逆指名がなくなり、ある意味で12球団は平等になった。ここで問われるのは育成とチーム編成、すなわち良いチームを作ろうという熱い思いである」
鈴木教授のエールをプロ野球の各チーム、とりわけ我らが中日ドラゴンズに届けたい。

【東西南北論説風(47) by CBCテレビ論説室長・北辻利寿】

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