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竜の大谷翔平になれるか?セ・リーグ初の二刀流、ドラ5岡林勇希の挑戦

竜の大谷翔平になれるか?セ・リーグ初の二刀流、ドラ5岡林勇希の挑戦
とある妄想しがちなファンのドラゴンズ見聞録

竜の大谷翔平になれるか?セ・リーグ初の二刀流、ドラ5岡林勇希の挑戦

 2019年10月29日(火) 10:10
澤村 桃
澤村 桃

「とある妄想しがちなファンのドラゴンズ見聞録」
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)を見たコラム

嫌いじゃないオフシーズンの楽しみ

日本シリーズも終わり圧倒的な強さをホークスに見せつけられ、幕を閉じた今年のペナントリーグ。感じることは多分にあるが、まずは土俵に立ってからという気持ちがオフシーズンの戦況に熱視線を注がせる。

野球のシーズンが終わってしまったと寂しさに浸るのもつかの間、宮崎のフェニックスリーグ、これからある台湾のウィンターリーグも来シーズンに向け気分を高めるものとしては格好の材料だ。FAやトレード、補強もさることとながら、今在籍する選手、ドラフトで指名された選手がどんな成長、活躍をしていくのかあれこれ考える時間も嫌いじゃない。TV、新聞、ラジオ、ネット、ファンからの口コミと様々な媒体を駆使しながら、小ネタを拾ったりしつつポジティブな要素に繋げてどんなに強いドラゴンズができるのか妄想を膨らませる。

アピールポイントは「二刀流! 」 去年取り寄せたノウハウは活かせるのか?

「サンデードラゴンズ」に出演する岡林勇希選手©CBCテレビ

そんなワクワクする新しい可能性を広げる選手の一人が岡林勇希選手だ。岡林選手は今年のドラフト5位指名を受けた菰野高校の投手である。投手と野手両方でプロの世界に挑戦したいと思い描く。とはいえ昨年根尾昂選手が二刀流に挑戦か?!と騒がれ、ファイターズから二刀流育成のノウハウを取り寄せるも野手専念となったぐらいで、その難易度は並大抵のものではないだろう。そんな「二刀流」をアピールポイントとして岡林選手自身がうち出すのは実に熱い。

そんな岡林選手を評価する人々の声を聞いてみる。赤星憲広氏はドラフト指名選手の候補特集で、思わず「好き。」と言ってしまうほど。走攻守に優れた能力をもつ、可能性の塊のような選手だ。

投手・野手それぞれの魅力とは?

「サンデードラゴンズ」に出演する岡林勇希選手©CBCテレビ

岡林選手を直接よく知る人物の評価はと言うと。父親は向上するために研究熱心なところ、菰野高校野球部の戸田監督は頭も心も使って考えてプレイできるタイプと身体能力だけではなく、頭脳や磨かれているセンスに太鼓判を押す。

米村明スカウトはバッターとしての実力を高く評価しているが、監督曰くバッターとしての指導はほとんどしていないとのこと。高校通算21本塁打を叩き出せるのは、身体能力の高さもあるだろうが細身の体で打てるのはやはり独自の研究で向上したのかもしれないと思わせる。また、父親と戸田監督はピッチャーとして活躍することを期待している。どちらの能力も高く秀でているからこそ意見が分かれていることにワクワクさせられる投手だ。

理想のピッチャーとしてあげるのは、ピッチングスタイルが似ているという米大リーグ・ドジャースの前田健太投手。身体の使い方が似ているとも言っており自分のピッチングに貪欲に取り入れていく意識の高さが伺える。
また球種は、挑戦しているものも含めて七種類投げ分けられると言う。カーブ、スライダー、チェンジアップ、フォーク、ツーシーム、スプリットなど。種類も豊富な上にストライクを狙って取りにいけるようなコントロールの良さも評価されている。この変化球もYouTubeなどで様々な投手のピッチングを観察し、自身の身体に適した投げ方を研究し会得しているのだそう。こうして吸収できる力も一つの大きな魅力に違いない。

「二刀流」はともすれば話題性優先でとらえられがちだが、高校生ながら投打ともに高いポテンシャルを発揮する部分、研究熱心と評される好奇心と能動性を持って挑める野心を二刀流という形で活かせたら純粋に素晴らしいだろう。本人の意欲と指導の状況が見合えば是非ともチャレンジを応援したい。

野球を始めるキッカケとなった兄そして家族との絆

「サンデードラゴンズ」より岡林勇希選手©CBCテレビ

兄・飛翔(つばさ)さんの影響で小学2年生から野球を始めた岡林少年。
小学校、中学校、高校と兄に負けたくないという気持ちで野球をやってきた。今までは負けっぱなしだった兄をいつか抜かしてやりたいという気持ちでずっと野球を続けてきた。そんな環境こそがここまでの彼を作り上げてきたのは間違いない。そう思わせるのは父親のこの発言だ。

「野球の記録に関しては、兄に一個も勝てなかった。ホームランの数とかスピードとか。それをずっと追い続けてきた勇希が伸びてきた一つの要因かもしれない。」

そして岡林選手は、ドラフトの指名を受けて決意をこう語る。

「兄を抜かすことができるのはプロの世界しかないと思ったので、兄を越えるためにプロの世界で結果を出したい。ずっと尊敬してきた兄ですら戦力外になってしまったので(プロの世界は)厳しいなというのは感じました。」

両親を通して兄のプロ生活の様子を聞いていたというから不安も大いにあるだろう。だが、プロ入りに向けてのご両親のコメントにはしっかり支えつつも挑戦するために全力で送り出したいという気持ちが感じられた。

母親は「妹も含めて家族で野球をやっていて良かったと思います。勇希は勇希で自分の力を精一杯出してやってほしいです。」

父親は「兄貴の気持ちとかではなく思い切り自分でできる限りの事をやってもらいたい。」

ともに戦ってきた家族の思いも込めて、岡林選手はこれからその一歩を踏み出すことになる。

ドラフト指名について兄・飛翔(つばさ)さんからの手紙

「サンデードラゴンズ」に出演する岡林勇希選手と立浪和義さん©CBCテレビ

プロを目指すきっかけを作った兄・飛翔(つばさ)さんから岡林選手に向けて書かれた手紙は短いながらも様々な想いが込められている暖かい文章であった。

”勇希へ

ドラフト指名おめでとう。野球を始めてから毎晩一緒に練習し勇希の成長にびっくりし焦ったこともありました。勇希の実力は、そばにいた僕が一番知っている。厳しい世界だが自信を持って頑張れよ。オフの自主トレは相手するよ(笑)。

飛翔”

それは能力の高さを兄として評価した言葉でもあり、実際にプロの世界で経験しポテンシャルを輝かせることができるのはほんの一握りの人間だけなんだということを痛切に味わった上で出た言葉であろう。きっと普段なら改まって言わないような言葉を受け取り、はにかんだ表情を浮かべる岡林選手。ずっと背中を見てきた兄が広島カープで選手として見てきたものを抱えて紡いだ言葉に少し噛みしめるような顔つきに変わってこう応えた。

「身近で一番競い合ってきた兄なんで、一番(自分のことを)わかっていると思います。」

わかっているということが、なによりも状況を突きつける言葉だ。しかしそんなふうにずっと背中を追ってきた兄に対して、越えることが一番の恩返しになるのだろう。そしてそれがまだ見たことのない世界を岡林選手の真っ直ぐな瞳と笑顔で切り拓いていってくれることを期待して。

澤村桃

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