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「野球はエースと4番」大野雄大とビシエドが魅せた真髄に続けドラゴンズ!

「野球はエースと4番」大野雄大とビシエドが魅せた真髄に続けドラゴンズ!
論説室コラム

「野球はエースと4番」大野雄大とビシエドが魅せた真髄に続けドラゴンズ!

 2021年8月31日(火) 20:56
北辻 利寿
北辻 利寿
「サンデードラゴンズ」より大野雄大投手とダヤン・ビシエド選手©CBCテレビ

昔から野球で言われる言葉に「エースと4番」がある。この2つの立場にしっかりした選手がいるチームは強いという分析なのだが、中日ドラゴンズでは久しぶりにそんな2人が活躍した試合を見せてもらった。

大野とビシエドに沸く観客席

壮観なお立ち台風景だった。2021年8月27日のバンテリンドーム。讀賣ジャイアンツを4対1で破った試合後のヒーローインタビューには、1塁側スタンドに向かって左側には大野雄大投手、右側にはダヤン・ビシエド選手が立った。ドアラ人形をしっかり抱いた「エースと4番」を、スタンドに残っていたファンからの拍手が包み込んだ。ビシエド選手はこの試合4打点、あと3打点に迫っていたチーム外国人選手の歴代最多打点を一気に抜き去る通算450打点となった。一方の大野投手は、東京五輪の侍ジャパンから戻っての2戦目。7回を3安打1失点に抑えて、6月以来の4勝目を挙げた。エースと4番打者の2ショットには、やはり得も言われぬ安心感がある。

竜の「エースと4番」その歴史

「サンデードラゴンズ」よりタイロン・ウッズ選手©CBCテレビ

球団創設85周年のドラゴンズの歴史には、すぐに頭に浮かぶ「エースと4番」の組み合わせが多くある。20年ぶりのリーグ優勝を果たした1974年(昭和49年)は、星野仙一投手とトーマス・マーチン選手。この2人に加えて、1番セカンドの高木守道選手がチームを優勝へけん引した。2000年代に入って、落合博満監督がチームを率いた8年間、エースに川上憲伸投手が君臨した時代は、アレックス・オチョア選手、そしてタイロン・ウッズ選手が4番の座に座った。特に「エース川上、4番ウッズ」でリーグ優勝を勝ち取った2006年(平成18年)は、川上投手が最多勝と最多奪三振、ウッズ選手が本塁打と打点の二冠王、とにかく強かった。続く吉見一起投手とトニ・ブランコ選手の組み合わせも強力だった。和田一浩選手も交えて球団初の連覇に駆け上がった。その意味で落合監督のチーム作りは「エースと4番」を忠実に確立していたと言える。

三冠男と名投手たちの時代

「サンデードラゴンズ」より大野雄大投手©CBCテレビ

その落合博満さんが現役時代に4番に座った時代、ドラゴンズの「エース」の座は少し不思議だった。軸になった投手は毎年のように変わった。西武ライオンズ(現・埼玉西武)からトレードで移籍してきた小野和幸投手、同じく讀賣ジャイアンツから移籍してきた西本聖投手がそれぞれドラゴンズのユニホームを着て早々に最多勝のタイトルを獲る活躍をしたシーズンもあれば、生え抜きの左腕である今中慎二投手が開花したシーズンもある。その意味では、どっしりと構えた4番打者がエース級の投手を次々と育てた時代だった。吉見投手の後、ドラゴンズには長らく「エース」と呼べる投手は登場しなかったが、2020年に沢村賞を手にした大野雄大投手によって、ようやく「エースと4番」が確立できるようになった。

積極果敢な原采配に勝てず

「サンデードラゴンズ」よりダヤン・ビシエド選手©CBCテレビ

宿敵ジャイアンツを相手にせっかくの「エースと4番」が活躍して勝利したと言うのに、肝心のチームは相変わらず波に乗り切れない。翌日の試合はわずか2安打で引き分け、この内の1安打は4番ビシエド選手のソロホームランだった。さらに次の試合は、相手から3つの四球で1死満塁というチャンスをもらいながら、相変わらず「あと1本」が出ずに完敗。エースも毎試合投げるわけにはいかず、4番打者も毎打席打てるわけではない。続く選手が頑張らなければ連勝などできるはずがない。ジャイアンツ3連戦で最も気になったのは、先発オーダーである。原監督が毎試合スタメンを替えてきたのに対し、与田監督は珍しく3試合とも同じスタメンでのぞんだ。どちらが挑戦者なのだろうか?と目を疑った。3連戦を終えて、ジャイアンツは首位に駆け上がり、ドラゴンズは下位の広島東洋カープによって4位に並ばれた。3位との差は実に13ゲームという厚さだ。(成績は2021年8月30日現在)

ようやく確立できた「エースと4番」。ドラゴンズは弱いチームではないはずだ。次の試合もきっと竜のエースと4番は活躍してくれるだろうし、まずはその波に乗ることをめざしてほしい。あえて厳しいことを言えば、強いチームはすでに次世代の「エースと4番」を育てている。この事実を中日ドラゴンズ球団全体としてしっかり受けとめて、とにかく前に進むべきだ。気がつけば、竜のシーズンはもう100試合が終わっていた。

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

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