番組審議会

2018年

第53回 株式会社CBCラジオ番組審議会

開催日 平成30年6月15日(金)
出席委員
(敬称略・五十音順)
団野 誠(副委員長) 堀田あけみ 松尾清一(委員長)
(書面参加 近藤清久 杉浦昭子)
議題 I.番組審議 「平成30年日本民間放送連盟賞 ラジオ報道番組部門 出品作
CBCラジオ特集「あなたの隣のフィリピン」」

放送日時 2018年5月27日(日)19:00~19:59(56分録音番組)
プロデューサー 森合康行
ディレクター・音効 菅野光太郎
取材協力 中島弘象(フリーライター)
効果 奥野賢司
取材・資料協力 水谷竹秀(フリーライター)
ナレーション 江崎明(フリー)

《制作意図》

 日本の在留外国人は、5年前に比べると26%増の約245万人で、今後も深刻な労働力不足を考えるとさらに増え続けると見られています。名古屋市でも外国人は増え続けており、過去最高の7万8千人余りとなっています。特に中区は、日本最大級のフィリピンパブ街があり人口の約1割が外国人で、その多くは出稼ぎのためにやって来たフィリピン人女性です。
 フィリピン人女性が増え始めたのは1980年中頃で、当初はダンサーや歌手として興行ビザを取得し、入国していました。(多い時には8万人余りのフィリピン人女性がこのビザで来日しています。)しかし、この興行ビザが人身売買の温床になっていると海外の国々から非難され、このビザによる入国が困難になると多くのフィリピン人女性は、偽装結婚など違法な手段で来日する様になりました。今では偽装結婚を解消し、改めて日本人と家庭をもつフィリピン人女性も増えていますが、その多くは、日本の文化・風習がわからず、離婚・孤立・育児など様々な問題や悩みを抱えて生活しています。
 安倍晋三総理は、今年2月の経済財政諮問会議で「移民政策を取らない」事を明言しました。しかし現状は、フィリピン人だけでなく多くの外国人が既に日本で暮らしていて、その数は増え続けています。
 番組では、フィリピン人女性と結婚した日本人男性や多くフィリピン人の子供が通う小学校などを取材し、今後も増え続ける外国人らとどのように向き合えば良いかを考えます。

《番組内容》

 「フィリピンパブ嬢の社会学(新潮新書)」の著者で、フリーライターの中島弘象さん(29)は、名古屋市にある日本最大級のフィリピンパブ街・女子大小路を専門に取材しています。彼はフィリピンパブで出会ったフィリピン人 レイシェルさん(32)と結婚し、8か月の娘 有渚さんと暮らしています。中島さんは、レイシェルさんを通して、ビザ、仕送りなどフィリピン人の様々な問題を知ることになります。番組では、中島さん夫婦に密着し、日本に暮らすフィリピン人の様々な問題を取材します。

議事の概要

   《審議委員の主なご意見》

  • 避けて通れない外国人労働者の問題を取り上げ、手間隙をかけた丁寧な取材で構成されており良質な番組だと思った。
  • 貧困問題が浮上し、生活保護などの補助が必要になると、医療・介護問題で財政が破綻しそうなのに、果たして大丈夫なのかと心配になってくる。多くの人に番組を聞いてもらいたいと思った。
  • 移民が何人居て今後も大変だという数字の話はよく聞くが、実際に当事者の声を聞くと、問題の大きさが生々しく伝わってくる。外国人労働者を受け入れるが、後はほったらかしという一面が確かにあると感じた。
  • 番組の最後で「大変だけど頑張るしかない」というフィリピン人女性の声と、移民問題に無策な日本の姿がとても対照的で、聞き応えのあるエンディングに仕上がっていると感じた。
  • 完成度が高い番組だが、フィリピン人の問題から他の社会的な問題への広がりが余り感じられず、これまでのCBCラジオのドキュメンタリー番組と比較すると、少し力が足らない気がした。

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