番組審議会

第65回CBCクラブ文化賞(くちなし章)に柴垣建男さんを選出

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東海地方において一芸一能に黙々と従事し、人知れずこの地方の文化の発展に貢献している方を発掘し顕彰するCBCクラブ文化賞(くちなし章)に、名古屋市で笙(しょう)を製造している*鳳笙楽器師(ほうしょうがっきし)・柴垣建男(しばがき たつお)さん(76)を選出しました。
柴垣さんは、天理教での雅楽との関りがきっかけで笙製作に携わるようになり、間もなく45年になります。笙の製作者は全国でも非常に少ない貴重な職業です。また、笙は材料の調達にも数十年単位の時間を要し、その製造工程には細微な技術が必要です。完成後は継続的なメンテナンス(洗替(あらいがえ))が必要で、この技術も笙を知り尽くした楽器師が行います。その結果条件が整えば300年先までも奏で続けられる楽器です。使い手と楽器師の丁寧な扱いによって楽器が成長し、奏でる音も変わってくると言います。柴垣さんは「300年育ち続ける」楽器を意識しながら日々鳳笙楽器師として活動していらっしゃいます。(*鳳笙・・・笙の美称。外観が羽を休めた鳳凰の姿に似ているところからいう)
贈呈式は2月2日(金)名古屋東急ホテルにて行われます。


<柴垣建男さん 略歴>
1947年8月生まれ 76歳
1970年 天理大学文学部卒業 天理教教会本部勤務
1973年 天理教教会従事とともに雅楽(龍笛、篳篥、笙)の
     演奏を始める
1975年 笙製作のための材料を収集し始める
1980年 笙製作を始める
2004年 宮内庁に1管目の笙を収める
2011年までに宮内庁に6管の笙を収める

<表彰理由>
笙(しょう)の制作には数十年煤(すす)を当て乾かし良く締まった真竹(まだけ)と矢竹(たけ)が必要です。音を奏でる要のリードは長きにわたって叩き込まれた銅鑼(どら)を材料とします。手をかけて作った材料の細工は一ミリ未満の細微な技が必要でその工程は寸分の妥協も許されません。丁寧に組みあがった楽器は、その使い手の愛情と楽器師による何百回という洗替(あらいがえ)を経て三百年先まで奏で続けられます。 
そんな雅で繊細な楽器を育て続ける鳳笙楽器師(ほうしょうがっきし)。
それがあなたです。ここにCBCクラブ文化賞を贈り顕彰します。


<柴垣建男さん談>
雅楽は千数百年前から守り続けられているもので、変えてはいけないのが雅楽の世界。
やる人がいないと言われれば何としてもやっていかなければならない。あの人が待っている、この人が待っていると思うとまだまだ頑張れる。
300年楽器が育ち続ける音の世界には限りがなく「これで良い」はない。だから続けられる。いつか“これぞ笙”というものを作りたいですね。


<CBCクラブ文化賞(くちなし章)について>
CBCクラブ文化賞は、CBCクラブ(下記参照)が創設されてから3年後の昭和35年(1960年)に制定されました。CBCクラブ文化賞、通称「くちなし章」と親しまれているこの賞は、この地方にあって、一芸、一能に黙々と従事し、人知れずこの地方の文化の発展に貢献している方を発掘し、顕彰するというところに特色があり、他の文化賞とは一線を画すユニークな賞として評価を得ています。
くちなし章=口に出して大仰に伝えられなくとも、その一芸一能の芳しい香色は世の中の認められるところとなるという意味合いが、くちなしという花のもつ意味合いと合致し、CBCクラブ文化賞の象徴として選ばれ、徽章を贈ることとなりました。
なお、章は当時の院展院友の野村ショウ(公の下に木)韵(イン)画伯がクチナシの花と実を図案化したものを七宝で製作したものです。


<CBCクラブとは>
CBCクラブは、昭和25年に会社を創立した中部日本放送が「文化の発展と向上に寄与することが放送の使命」という企業姿勢に基づき、昭和32年に東海地方在住の芸術・文化・学術の分野を代表する145人で創設しました。
発足メンバーとして、後に人間国宝指定の栄誉に続いて文化勲章を受章する荒川豊蔵氏(陶芸)や名古屋初の藝術院会員に選出される鬼頭鍋三郎氏(洋画)、そして愛知県文化会館館長で徳川美術館初代館長の徳川義親氏といった方々がCBCクラブ会員として名を連ねていました。
令和6年1月現在、CBCクラブの会員数は271人。CBCクラブ文化賞選考以外の主な活動は、「チャリティ美術工芸展」などのチャリティ活動、「CBCこども絵画展」「CBC翔け!二十歳の記憶展(はばたけはたちのきおくてん)」(美術大学の学生を対象にした美術展)等開催による若手アーティスト育成支援、芸術・文化交流のための例会開催、地域の文化人を紹介するラジオ番組「文化・楽楽」の放送などで、これらの活動を通して地域貢献活動を行っています。

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